| 劇団、本谷有希子『遭難、』 |
| 2006'9.11〜10.20 |
10/20(金)
すげー長いこと、裏稽古場日誌を書いてない。
これだって、日付は10月だが、書いているのは12/29だもの。
アハハハ!↓の私は、大便のことを気にしてたんだねー。そりゃかなり過酷な状況だねー。一応、結果を書いておくと、大便タイムで困ることはなかったけど、舞台上でちょいと怪我をして、舞台奥にハケた隙に絆創膏を貼ってる間に、もう登場のキッカケ台詞が聞こえてきて、絆創膏を貼りつつ、小道具持ちつつ、走りながら舞台上になんとか間に合った、ってピンチはあったけど、客席で観ている方々には、絶対にバレてないはず。舞台上にいた共演者も、気付いてないはず。
劇団、本谷有希子かぁ。大変だったな〜ってことは覚えてる。でも、どう大変だったかはあんまり覚えてない。それよりも、観に来た人々に、これまでの演劇人生で一番たくさん褒められたってことの方が覚えてる。「出て良かったね」という言葉と「くやしい」って言葉をたくさんいただいた。あ、稽古の最後の二週間くらいは、稽古場に行きたくなくて、毎日毎日、「稽古場が燃えればいいのに」と願い続けてたわ。最初の二週間は、ものすごく楽しくて、こんな楽しい稽古は初めてだと思っていたことも、思い出してきた。
本番中は、連日山のようにやってくる高級差し入れをチェックしては、佐藤真弓さんと「みんな取らないのかなあ?あたし、もう一つ取っちゃった、いいよね?真弓さんももう一ついかが?」って毎日言ってたような気がする。出演者が少ないと、その分、分け前が多くて、なんて贅沢な現場なんだろうかと思ったものよ。
稽古中は、本谷有希子が創り出した台詞を操りたいともがいていた。台詞に支配されたくないと思っていた。でも、本番になったら、敵のように思えてしかたがなかったはずの台詞達が私を守り、押し上げてくれた。
非常に詩的な表現かもしれないけど、↑な感じだった。「遭難、」が何でもいいから何か受賞してくれることを心から望むし、有希子ちゃんとまた一緒に仕事ができる日を、心待ちにしている。すごい人だ。
ご来場下さった皆様、本当にありがとうございます!!
10/3(火)
今日は、通しはせずに、抜き稽古三昧。
出演者が少ないと、全員がずっと稽古し続けてるわけで、みんなくた〜っとなっとった。私が一番くた〜っとなってたわけだけれども。
自分で作成した香盤表に、メイク直しタイムとトイレタイムを書き込んでみる。小ならいいけど、大がしたくなった場合は、一体いつ行けばいいんだろう・・・そんな過酷な状況なり。
10/2(月)
本日の通し稽古は2時間8分だった。あと8分短ければいいのにな〜と思う私だが、誰もそんなこと言ってないから、多分、このままいくのだろう。私の“あと8分短ければ”って根拠は、ただ“そしたらちょうど2時間だから”ってだけなんで、別にいいんだけど。
10/1(日)
稽古休み。
新国立劇場小劇場にリエさん出演の「アジアの女」を観に行く。5人芝居ってことで、我々は“vsアジアの女”だと思って、日々鍛錬しているわけで(嘘よ)、私は、当然、ナイロンの大先輩・峯村リエに対戦カードを突きつけるつもりで(嘘よ)観に行ったわけ。が、観ていて、あのアクションやこの台詞から、結果、近藤芳正さんに対戦カードを突きつけなきゃいけないってことが判明・・・ぬおおおお!となると、吉本菜穂子vs岩松了かっ。ぬおおおお!これらの話は、我々の稽古場で勝手に妄想し盛り上がっただけだから、あちらチームには何ら関係のない話。おほほほほ。
今、「アジアの女」内では、私が富やん(富田靖子ね)に「姫ダニ」の時にあげた漫画「自虐の詩」が回っているらしい。なので、富やんには、松本大洋「花男」をオススメしておいた。
9/30(土)
通し稽古だー。
本谷さんが通し好きってのは、噂で聞いた。来週はずっと通し稽古になるのかもしれない。まあ、通し稽古を何度もできるってのは、いいこった。力の入れ処や抜き処が自分の体で感じられるからね。でも、ああ、緊張する。
9/29(金)
今回は、とにかく早口だ。
いや、本谷さんとこはいつもそうなのかもしれないけど、私は初参加なので、“あれもこれも早口だー”って感じ。ケラさんから「滑舌が良すぎる」という理不尽なダメ出しを10年以上言われている私だが、今回の稽古で、自分の“寄る年波”ってのを嫌ってほど感じている。年と共に口が回らなくなる、と先輩達が言っていたが、ホントだわー。口も頭も随分と回転が悪くなっている。まあ、今まで良すぎたんだから、これで丁度いいのかもしれないね。
9/28(木)
ぬ?最近のDS「おいでよ どうぶつの森」情報を書いてないわね。
日にちを先に進めてやっているので、もうどんぐり祭り。コンプリートしたわよ。ああ、あとは、誰かと通信して、たぬきデパートにしたい!ナイロンでは、植木夏十がDSで遊んでるらしいんだけど、「おい森」やってないんだとさ。ソフト与えれば、ちょっとくらいはやってくれるよね、きっと・・・。ああ、でも、植木にいつ会えるってのさっ。
山盛りの台詞が耳からこぼれ落ちそうな毎日にも関わらず、「おい森」だけは、きっちり毎日やっている私。
9/27(水)
ぬ?最近の「稽古場の本谷有希子」情報を書いてないわね。
豚汁が好きなようだ。いや、食に興味なさそうなので、好きなわけじゃないのかな?豚汁くらいなら食べられるという程度のものなのかもしれない。あと、カップヌードル的なものもたまに食べている。でも本谷さんは、喋ったり考えたりしながら食事をしていて、ほぼ手が止まっているので、ヌードルは伸びきって、食べても食べても減らない状態になっているし、熱いものを熱い内にってことには絶対なっていない。食欲が薄い上に、おいしくない状態になったものをつついているのだから、更に食べる気も失せるだろうよ。と、私が余計な考えで頭ぐるんぐるんになっていると、必ずと言っていいほど、本谷さんは、手に持っているその食糧を床にこぼしてしまい、周囲のスタッフがティッシュやぞうきんを持って、わっさ〜〜〜っと走ってくるのである。そして本谷さんは、こぼしてしまったという残念さや、食べ物が減った悲しさではなく、瞬時にしてわっさ〜〜〜と集まる人々の姿を見て、大いに驚き爆笑しているのである。
9/24(日)
稽古休み。
星屑の会「星屑の町〜東京砂漠篇」を観に、本多劇場へ。
そうか〜、星屑って5年振りなんだ〜。ん?てことは、私が出たの、もう5年前なんだ!そりゃ歳も取るよな。
いや〜、星屑の会は、ホント、いつ観ても、「面白いな〜」だし「狡いな〜」だ。だって、おじさん達が、もう、小動物とかクマさんやサイさんやキリンさんみたいなんだもの。あ、牛さんもいたわ。ゲストの戸田恵子さんも、ずっと前から星屑の会員だったかのような馴染み具合で、素敵だった。
観劇後、美容院へ。いつも髪を切って頂いてる美容師さんが、私の癒し。ホント、面白いし、いろんな情報くれるから、好き。
9/20(水)
午前、AGAPE store「地獄八景:浮世百景」のチラシ&パンフ撮影。
初めましての人が多くて、ちょっと緊張する。が、撮影はあっという間に終了。この公演、座長っぽい人がいっぱいだ。
午後、猛稽古。
ナイロンのキツい稽古も、「ハルちゃん」の台詞量も、「こち亀」の段取りの多さも、いつもかなりのピンチを乗り越えてきた私だが、今回は、今まで以上に大変だ。まず、本谷さんの回転の速さについていくのが大変だ。ついていこうとするから大変なだけだ、と、発想の転換をして、今日は自分のペースで我が道を進むことにしたはずなのに、自爆。結局、またしても本谷さんのペースにはまり、舌はもつれてれろれろに&大汗かきかき、必死に稽古してしまった。うーむ。
なんかこの日誌、稽古場日誌じゃなくて、本谷さんへの葛藤日誌みたいになってる?
9/19(火)
なんと!荒通し稽古!
稽古が始まって、まだ一週間じゃないか??「ざーっとやってみましょう」「流してやってみましょう」本谷さんのそんな甘い言葉につられて、“軽く流せばいいのかなー、まあどーせまだ台詞もうろ覚えだし、通せるわけないから途中で止まるでしょ”などと思って始めた荒通し、結局止まることはなく、出演者5人、くたくた。通し終了後、“台詞もあやういのに通したアタシ達ってすげーっ”と、私は大感動だったが、本谷さんは、首をかしげていた・・・イメージしてたのと違ったんだ・・・あああああ・・・。この一週間で分かったことだが、本谷さんは、非常に作家性の強い、作・演出家のように思う。頭の中で浮かべていた感じと見た感じが違うと、翌日には、新しい台本が配られ“差し替え”となる。恐ろしく筆の速い作家さんだ。あと、自分が苦労して書いたものに、愛着が有るのか無いのか、バスバス切っていく。切りっぷりが、あまりに清々しく、カットを言い渡す本谷さんの姿は、なんか後光が差しているようにも見える。
9/18(月)
本谷さんは、食に対する興味が希薄だ。
だからあんなに体が細いのか?体が細いから食も細いのか?みんなで鍋とか行く機会を持ちたいんだが、そのためには、お店に予約を入れなきゃ。稽古をちょいと早めに終わってもらえるよう、事前に手を打っておかないといけない。こういう場合、食に興味がある演出家かどうかってことは、かなり大きい。う〜ん、なぜ本谷さんは、食べることに喜びを感じてくれないのか。ああ、鍋、行きたい。
9/16(土)
とある演劇人に言われた「本谷の稽古してるんだよね?」。その次に言われたのは「喧嘩してない?」だ。
どういう意味だ?私が喧嘩しがちだということなのか、本谷さんの稽古場は喧嘩になりがちということなのか?どっちにしろ、今の私には、「はあ?喧嘩ぁ???」だ。
超人の本谷さんに対抗する私の手段は“経験”だ。経験上こうした方がいいのでは?という相談はするが、“経験”が、物事をつまらない方に向かせる原因となることもしばしばだってこともわかっている。超人からは“経験”からは決して出てこない奇っ怪なアイデアが時折出て来る。ずっと出続けてるわけじゃなくて、時々ピュっと出る。この“時々”ってとこが、本谷さんを“近づき難い人”ではなく“その辺にいそうなカワイコちゃん”にしているんだと思う。
9/14(木)
こりゃ、台詞入れなきゃ、稽古にならないや。
本谷ベテランのよしもっちゃんに聞いてみる。「そうなんです。台詞を早く入れた方が得っていうか、何て言うか」とのこと。どーやら、そのようだ。が、覚えにくいっ。よく、ナイロン初参加の役者さんが「ケラさんの書く台詞は、面白いんだけど覚えにくい」と言う。私はケラ台詞で育ってしまったので、とっても気持ちに即していて体に馴染みやすいんだけどね。なるほど、こういうことかぁ。本谷さんの書く台詞も、変てこなこと言っててもあくまで日常会話。ファミレスや電車の中で聞こえくるようなテンポとトーンと言葉の選び方。なのに、ちょっとした言葉・・・例えば、「だから」とか「そんな」とか「じゃあ」とか「え、」とか、そういうのが入る位置が、ケラ台詞とちょっと違う。この“ちょっと違う”が一番覚えにくい。今はまだ稽古が始まって間もないから、意味さえ合ってれば構わないというおおらかな感じで稽古が進んでいるけれど、意味が同じでも言葉が違うとニュアンスは確実に変わってしまう。いつかは「いい加減、台本通り言って下さい」って言われてしまうんだろーなー。私の脳の適応力に期待する。
9/13(水)
差し替えの台本がどんどん渡される。
昼間はガッツリ稽古して、夜は各種打ち合わせ、翌日は役者よりも早く稽古場に入って取材を受け・・・本谷さんは一体いつこんな大量の文字を打ってるんだろうか?いつ考えを構成してるんだろうか?
9/12(火)
演劇の稽古で、初日まで一ヶ月程ある場合、たいてい稽古期間の最初の方は、ゆるゆると稽古をする。
というのが、今までの私の経験だ。が、本谷さんは違う。昨日「初めまして」と言って焼肉を食らったのに、もうガッツリ稽古をする。恐ろしくスピードが速い。ひえ〜〜〜〜〜。
9/11(月)
劇団、本谷有希子「遭難、」顔合わせ。
初共演の人ばっかだ。共演は初めてだが、何度も一緒に飲んでて・・・って人さえいない。これはこれで珍しいことだ。
なんと、台本がほとんどできとるじゃないかっ。本谷さんって、こうなの?なんか、勝手に、小劇場の劇作家は、遅筆だって思っちゃってたけど、早い人もいるのね。
読み合わせ後、浮かない顔の本谷さん。自分が想像してたのと、読んだ感じが、あまりにも違っていたらしい・・・すみません。
読み合わせ後、全員で焼肉屋へ。後からやって来た本谷さんが嬉々として一言。「全面書き直しするから」えーーーー、面白いのに、もったいないっ。たった一回、初見で読んだだけで、それを捨てるなんてーーーーっ。ホント、ごめんなさいイメージと違って。にしても、すごいなー、本谷さんは。体力がある。あ、体力って、筋力とかそういうんじゃなくて、作家としての体力というか創作力というか、書くことへの瞬発力と持久力というかね。